眼瞼下垂・眼瞼内反

眼瞼下垂について

上の瞼が下がり、瞼をしっかり開けにくくなる状態のことです。上瞼の縁が瞳孔にかかるようになるまで下がると見づらくなってしまうので、多くの患者さんはあごを上げて下目づかいでものを見たり、眉毛を挙上しておでこに皺を作りながら過ごすようになってしまいます。先天性(生まれつき)の眼瞼下垂と後天性の眼瞼下垂があり、両者ともに、脳や神経の異常が原因で生じる場合とそうでない場合があります。脳や神経の病気が原因であると疑われるならば、専門医療機関にて精査し、対応した治療を受けることになります。後天性でかつ脳や神経の病気が原因でない場合は、老人性かハードコンタクトレンズ長期装用によるものか、過去に受けた眼科手術の後遺症である場合が考えられますが、この場合は手術が有効です。

上眼瞼を上げる筋肉は眼瞼挙筋とミューラー筋という筋肉ですが、当院では主にこのミューラー筋という筋を短縮する手術を行っております。上瞼の睫毛の生え際から4mm程の位置で瞼の皮膚を横に切開し、奥に切り進めつつ周囲の組織を剥離し、ミューラー筋を同定し、それを十分露出してから糸で縫い縮めることで、瞼を挙げやすくします。局所麻酔で片目当たり30分~40分かかる手術です。

 

眼瞼内反について

子供に時々見られる睫毛内反や、「さかさまつげ」とも呼ばれる睫毛乱生とは異なり、下の瞼が内側へ倒れこむように変形することで、下の睫毛が黒目や白目の表面へ常に接触したままになってしまう状態を指します。このため目の強い異物感、充血、目やになどを自覚するようになります。まれに先天性の場合もありますが、大半は後天性の老人性眼瞼内反です。この場合、「眼輪筋短縮術」という手術が有効です。
眼輪筋短縮術では、まず下瞼の睫毛の生え際から4mm程度下の位置で瞼の皮膚を横に切開し、皮膚や皮下組織をその奥にある眼輪筋から剥離し、瞼縁に沿って横に走っている眼輪筋を露出。眼輪筋を更にその奥にある瞼板という組織から剥離し、その眼輪筋を1センチメートル程短縮するように縫い縮めます。加齢で緩んだ下瞼をタイトにすることで、睫毛を再び外側へ向けるようなイメージを持っていただけると分かりやすいかと思います。こちらも局所麻酔で片目当たり30分程度の手術です。