片側顔面けいれん・眼瞼けいれん・ボトックス治療

片側顔面けいれんについて

左右どちらか(稀に両方)の顔面神経が不随意に活動することで瞼や口元がピクピクけいれんする病気です。顔面神経は脳の奥の方(脳幹)から左右別々に顔面の筋肉へ分布しますが、これが脳内の動脈等に圧迫されることにより、けいれんが起こります。初期で軽度の場合はそのまま様子を見ることが多いですが、瞼のけいれんが強くなったり、頬や口元までけいれんが及ぶ場合は、ボツリヌス毒素(ボトックス)を顔面の皮下に数か所注射することで、数か月間症状を抑えられます。根治療法は神経を圧迫している原因の動脈をずらす脳外科手術ですが、合併症も有りうるため、手術の適応は慎重に考えなければなりません。
同様に眼瞼のみがピクピクけいれんする、眼瞼ミオキミアという状態もありますが、これは疲労やストレスなどを契機に健康な人に起こる一過性の症状です。治療は必要ないですが、症状が長く続いたり悪化する場合には、片側顔面けいれんの可能性がありますので、MRI等の頭蓋内検査を受けるのが良いでしょう。

 

眼瞼けいれんについて

片側顔面けいれんや眼瞼ミオキミアのような「ピクピクする」症状とは異なり、初期には「まぶしい」「目を開けているのが辛い」といった症状から始まり、徐々に目が開けられなくなる状態へ進行する病気です。大抵は両目に起こります。瞼の開閉制御機構が故障した状態であり、「ジストニア」という脳の病気の一種です。
多くは原因不明ですが、精神安定剤、睡眠導入薬、抗精神病薬の副作用として起こる場合もあり、この場合は処方してもらってる精神科等の医師に相談したうえで原因となっている薬を止めることになります。薬の副作用でない場合(本態性眼瞼けいれん)は根治療法がありませんが、ボツリヌス毒素(ボトックス)を瞼の皮下に注射することで、数か月間症状を抑えることができます。